チャンネル登録数約11万人のZ世代向けYouTuber社長は、本人もZ世代屈指の“熱さと生真面目さを併せ持つ”【ニコニコした革命家】福田さんの思考を覗いてみよう/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、福田 駿(ふくだ しゅん)さん(株式会社Diaryの代表取締役)です。

学生起業家で“就活YouTuber”の福田さんからまず感じるのは、圧倒的な「突撃力」です。そこには、物事を成し遂げるために大切なものが凝縮されています。Z世代であり、「熱さ」と「生真面目さ」を併せ持つ福田さんを一言で表現するなら、【ニコニコした革命家】。物腰柔らかな福田さん、ニコニコした感じのまま、行動はガツンと大胆で、世の中を大きく変えていこうとしています。
今回はそうした福田さんの突撃力の源、ビジネスや組織に対する考え方などをご紹介します。モヤモヤ悩む働くすべての人に、色々迷っている学生に、一度、福田さんのお話を聞いてみることをお勧めします。「今日から私も変わろう、変わりたい」と思えるでしょう!

1 「一緒に仕事したい」と多くの人に熱望される福田さん

自分が困っていることを解決できるサービスを自分で立ち上げてビジネスにする。

福田さんの原点かつ株式会社Diaryの出発点は、就活をしていた福田さんが始めた、就活生向けのYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」です。チャンネル登録数は約11万人にも上ります(2022年6月時点)。

福田さん自己紹介画像です

(出所:福田さんご提供資料)

「しゅんダイアリー」は、福田さんご自身が、就活やインターンシップで感じた閉塞感や悩み、衝撃などが元になっています。「就活がうまくいかない」「首都圏と地方とで学生の情報量や実力に圧倒的な差がある(と感じる)」。そんな思いから、「このままじゃダメだ」と、なんと自分の就職面接の様子を動画でガチ撮影して配信し始めました。

●YouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」

しゅんダイアリーtop画像です

(出所:YouTube「しゅんダイアリー」)

しゅんダイアリー説明画像です

(出所:福田さんご提供資料)

大学を休学して会社を立ち上げた福田さん。何もないゼロの状態からコトを起こすその突撃力だけでもすごいのに、成し遂げるために地道に努力できる面もあります。そして福田さんとお話して大きな特徴だと感じるのは「非常に物腰柔らかで素直」なところです。

終始ニコニコ笑顔、穏やかな語り口。相手(周り)の話に真剣に耳を傾け、分からない言葉は素直に質問し、気づきになったことはすぐにメモ。「この気づきを本当に事業に活かすのだろうな」と思える真摯さです。そして実際に物事を進め、形にします。福田さんと会う人会う人、特に経営者層が皆、「(福田さんと)一緒に仕事をしたい」「うちの会社にCOOとして来てほしい」と熱望するのがよく分かります。福田さんは年齢的には20代前半と若いですが、年齢に関係なく、誠実、努力家、行動的、チャレンジ精神旺盛と、とにかく人間的魅力の塊!です。

2 なぜ「しゅんダイアリー」を始めたか?

福田さんたち株式会社Diaryでは、「しゅんダイアリー」のほか、企業向けに採用広報系の動画制作やYouTubeチャンネルの立ち上げ・運用なども行なっています。就活・採用関係がメーンですが、事業コンセプトはもっと大きなもので、若者たちの行動格差をなくし、

一人ひとりが作りたい未来を自分で描いていける時代を作りたい。

というもの。

Vision画像です

(出所:福田さんご提供資料)

このコンセプトの原体験、福田さんがなぜ「しゅんダイアリー」を始めたかを振り返ってみましょう。

石川県出身で地元の金沢大学で学んでいた福田さん。「もともと、東京で働きたいと思っていた」そうです。しかし、東京どころか、「(石川)県外に出て働こうとする人自体が少ない。自分のような東京で働きたい人は少数派」と福田さんは感じていました。県外に出ようとする人がそもそも少ないので、将来のことを友だちに相談できないし、気持ちも分かり合えないし、情報も入って来ない。

そんな福田さんの人生に大きな影響を与えたのが、大学4年生の就活時、サイバーエージェントの3日間のインターンシップに参加したことでした。福田さんは文字通り「衝撃的」な思いをします。ある意味、外の世界を初めて知ったからです。「行動格差」も感じたそうです。ここは、福田さんの言葉をそのまま借りて、その衝撃をご紹介しましょう。

●サイバーエージェントのインターンシップを経て福田さんが受けた衝撃

「大学1年のときからインターンを始めている人や、どこかの会社の事業部で実際にプロジェクトを回している人、『学生団体を自分で作ってます』という人など東京の大学の方々がいっぱいいて。」
「使っている言葉もカタカナが多くて、正直、何を言っているのか分からなかった。(今から思えば難しくない当たり前のことなのですが)例えばPLとかKPIとか。PLと言えば高校野球が強いPL学園のことしか知りませんでした(笑)。」
「とても衝撃的で、やはり広い世界を知らないことはもったいないなと思った。」

福田さんがいかにショックを受けたかがよく分かります。しかし、福田さんはそれだけで終わりませんでした。ここから、福田さんの突撃が始まります。
「例えば、『和食が好き』と言うにしても、フレンチもイタリアンも食べた上で『和食が好き』がいい。和食しか食べたことないのに『和食が好き』は何か違うと思う」と例え話で説明する福田さん。福田さんとしては、

「一つの県内の県庁や地場の大手企業しか見ていない状態で自分の人生を選ぶのはもったいない。選択肢を広げたい。そして、自分と同じような環境で生きてきた人にも、もっと選択肢を知って欲しい」

という思いでした。そこで、自分の面接の様子を動画で撮影・配信するようになったのです。

「会社」という形にしたきっかけは、ズバリ、「自分の実力の無さに危機感を感じたから」。「就活をしている中で、自分の実力のなさ、自分は何も持っていないということを痛感させられました。同世代のすごい人たちを目の当たりにして、このまま就職しても社会で活躍できずに埋もれてしまうと、ある種の直感的な危機感を感じました。そこでいったん就活をやめて、休学をして、会社を作るところにフルコミットしようと思ったのが会社を作ったきっかけです」と言う福田さん。これが2019年2月のことです。
 自分の足りなさに直面し、それを「危機感」として受け止め、そこから起死回生を図ろうと「会社を作る」。こういう「へこたれない」思考回路、稀だと思います。そして、本当に実現まで持っていける福田さんのような人は、ほんの一握りではないでしょうか。

●福田さん:サイバーエージェントのガチ面接の動画

面接画像です

(出所:YouTube「しゅんダイアリー」)

初めはサイバーエージェントの面接をYouTubeで流したり友人に共有したりしていた福田さん。そのうちYouTubeの登録者数が4000人くらいに増え、その4000人に対して認知を広げたいという石川県の企業からインタビュー依頼が来たそうです。それをきっかけに、福田さんは当時、流行り始めていたクラウドファンディングを行い、また、石川県の青年会議所や商工会議所など経営者が集まるところに行ってリアルで資金調達をして東京に引っ越してきました。なにやらもう、このあたりもすごい突撃力としか言いようがありません。

3 爆裂する突撃力の秘密

福田さんに、なぜそこまで突撃力があるのかを尋ねたところ、子どもの頃の話も教えてくれました。印象的だったのは、中学時代のバスケ部の話と、さまざまなことを「コツコツやるのが好き」という話です。福田さんの言葉を借りつつ、ご紹介します。

●中学時代のバスケ部の件

「当時は分かりませんでしたが、突撃力は確かに小さい頃からあったかもしれません。中学生のバスケ部のときはキャプテンをやっていて、顧問の先生がいなかったので、タウンワークで調べて隣町のバスケ経験者に電話をかけてコーチになってもらったりしました。強い高校に練習試合を申し込んだり、一緒に練習したりとかもやっていましたが、それが凄いとか、他の人がやっていないことだとかは全く思ってもいませんでした」
「ただ、今振り返ると、中学時代のバスケ部のような誰も何も言ってくれない状況で、なんとかしなきゃいけないカオスな環境のほうが自分の力が発揮できると思います」

●「コツコツやるのが好き」な件

「もともとコツコツ努力することだったり、目標立てて地道に泥臭いことをやったりするのは、幼稚園のときからとても好きです」
「父が伝統工芸の加賀友禅の作家だったので、絵を描くのはよく見ていました。自分も絵を描くのが上手くなりたいなと思い、幼稚園のときに、1日に50枚は絶対に絵を描こうと決めて。塗り絵からスタートして、ちょっとずつ絵を描いて、ペンだこというか(今でも残ってるんですけど)、中指の豆が潰れまくってボッコリとなるまで描き続けました」
「少年野球もやっていましたが、野球が上手くなりたくて、週2回の練習以外に、毎日自主的に山を走りに行っていました」
「ある種、効率はものすごく悪いかもしれないのですが、コツコツ毎日何かをやり続けるのが好きなんです」

こうしたお話をお聞きしていると、福田さんの突撃力は、目標を立ててコツコツ毎日泥臭く努力できる持久力の上に、思い立ったら環境を打破するためにパッと行動できる瞬発力も重なって、「二重底の分厚い突撃力」になっている。両輪の突撃力。そう感じます。

福田さんは大物経営者などにアポなしで会いに行って動画まで撮ったりしています。普通は気後れしそうなものですが、「さすがに大物は怖いという感覚はありますし緊張もしますが、それよりも何も残らない、残せない怖さのほうが大きい。だから突撃できます」と語る福田さんです。突撃力の裏には、「こうしたい」という強い意志があることも伺えます。

4 「Z世代ですが……」な福田さん

福田さんは年齢的にはZ世代であると同時に、「らしからぬビジネスに対する熱さ(良い意味で)」やハングリー精神、根性といったものが感じられます。

福田さんが具体的な目標として挙げるのは、

「時価総額10兆円の会社を作る」

です。そのために、毎日、1分1秒を惜しんで事業に勉強に邁進している福田さん。

 「新卒市場だけだと800億円なので、そもそも10兆円に届かない。もっと大きくしたいと考えているので、本当に毎日時間が惜しいです」と、朝早くから夜遅くまで、事業計画、採用、ミーティング、動画制作、資金調達、営業など目まぐるしく動きます。さらに、さまざまな人に会い、本を読み、「自分が経験して来なかったことを経験している方の、凝縮された情報を収集することも大事にしている」という福田さん。

時間がいくらあっても足りなそうですし、正直かなり疲れそうですが、そこは、「今、これが必要だなとか、楽しいなとか思うことなので、ずっとやっていても、疲れるというのはないですね。」と、やはり笑顔の福田さんです。

福田さんに自分と同じZ世代をどう思うか聞いてみたところ、「自分自身のことも反省しつつですが」ということで、次のように答えてくれました。

●「Z世代」に対する福田さんの考え

「いわゆるZ世代といわれる僕らと同世代の人たちは、ハングリー精神が乏しいかもしれません。売上とか目標とか数字的な感覚はあまりなくて、お金は困らない程度でよく、ゆるくプライベートも充実させて、なんとなく楽しければいいという人が多数派だと思います」
「僕ら世代は優しすぎるとも思います。何かを達成するために厳しく誰かに注意したり言ったりすることが苦手な人が圧倒的に多くて、だから怒られることにも弱いですし、怒るという経験もしたことがない人がほとんどかもしれません」
「(怒る、怒られる経験がないので)何かをやろうという時にも、優しすぎて、人を巻き込みきれない、あるいは突き放せないという弱みがあると思います」
「とはいいつつ、Z世代の強みは、評価軸が自分にあることです。世の中一般的に車を持つのがかっこいいとか家買うのがかっこいいという価値観ではなく、自分のものさしを持っているので、幸せという観点でいえば、『成長しなくてもいいというわけではないが自分のペースでできればいい』という人が圧倒的に多いと思います」

このように自分たちZ世代を分析している福田さんの会社の仲間も、ほとんどZ世代です。そうした中で福田さんは、組織の作り方、動かし方についても福田さん流で進めています。

5 仲間たち「本人」の「こうしたい」という気持ちを大切にする

メンバーがほとんどZ世代な福田さんの会社では、「トップがいてこれをやりなさい、あれをやりなさいというマネジメントの方法はまったく通用しない」そうです。
 「逆に、本人が『自分がこうしたいからやる』という時が一番力を発揮しやすい」と感じている福田さんは、「同一線上にメンバー皆が並んで立って、それぞれ同じ目標に向かって一緒に走る組織の形」を心がけています。目指すところの共通認識があり、それぞれがリーダーとなってそれぞれが主体になって走る。誰が上とか下とか、そういうピラミッド型ではないフラットな形、ということです。

福田さんたちが毎朝行っている「朝会」もユニークです。仲間たち「本人」の「やろう」「仕事を楽しもう」という気持ちを大切にする福田さんたちらしい内容です。毎回、朝会ではたくさんの画像や動画、キャラクターなどを使った“面白資料”をつくり、オンライン会議ツールで画面共有します。そして資料は画面共有しつつも、面白い話や雰囲気はその場で共有して一体感を高めたい。ということで、「オンライン会議ツールを使うけれど全員集合で朝礼をする」スタイルだといいます。一人ひとりが「自分ごと」で楽しく、けれど真剣に臨める朝会は、新しい「気持ち共有の形」なのかもしれません。

●株式会社Diaryの朝会資料例(一部抜粋)

朝会資料例画像です

(出所:福田さんご提供資料)

会社のメンバーを集める(採用する)ときも、その相手と一緒に登山しながら説得して集めているという福田さん(しかも相手の地元や大学近くの山)。「山は余計な情報がありません。それに、登山は苦しいので、一緒に苦しいことを経験すると結束感が生まれます。さらに言えば、Z世代の特徴と思いますが人に何かを捻じ曲げて矯正させるのは難しいですし、僕自身もそれはやりたくないんです。相手がやりたいことを理解して、それと自分がやりたいことが一緒なら一緒にやりませんかという……そういうやりたいことの方向性のすり合わせが、山はしやすいと思います」。福田さんの“福田流・登山説得型”も、Z世代のメンバーが仲間だからこその工夫なのかもしれません。

突撃力はもちろん、しっかりとロジカルに考え、壁にぶつかってもへこたれずとにかく実践して物事を地道に前に進める。そういう福田さんの厚み、ふわふわしていない力強さ、泥臭さが、仲間を大切にしている感じからも伝わってきます。こうした結束感、一人ひとりが楽しんで仕事をしているのも、福田さんたちの強みと言えるでしょう。
 実際に「しゅんダイアリー」の動画などを見ると分かりますが、メンバーが皆、自分で工夫してやりたいことをやっている感じがします。かつ、視聴者のことを考えてとてもテンポが良く、内容も就活の現場ですぐに使えそうな具体的なものばかり。何よりとにかくメンバーが楽しそうなのが印象的です。

6 福田さんの理想とする実現したい世界観

株式会社Diaryでは、「しゅんダイアリー/内定に一歩近づく就活動画メディア」もリリースしており、就活生向けの「行動力診断テスト」もできるようになっています。今後も色々と新しい展開が期待されます。
※「しゅんダイアリー/内定に一歩近づく就活動画メディア」はこちら

最後に、福田さんに、理想とする実現したい世界観をお聞きしたところ、次のように答えてくれました。

●福田さんの描く世界観

若者の全員が自分の才能に気付いて、その才能が発揮される世界にしたいです。
若者の才能が発見され発揮されると、社会にとっても一人当たりの生産性が上がり、スタートアップも大手企業も、さまざまな企業が元気になります。
就職するにしても起業するにしても、若者が元気になることが、社会全体が元気になる、日本が元気になる上で必須なことだと思います。そのため、(自分たちと)同世代の価値観や生き方、在り方を、ある種、変革する事業をやり続け、結果的に日本全体、そして世界全体が活性化する、元気になる状態を作りたいと思っています。

素晴らしい世界観ですね! 就職でも起業でも、どこの地域にいても、とにかく形にとらわれないで、若い世代の人たちがやりたいことを見つけ、思い切り力を発揮できる。そんな、「世間や隣を気にしない、もっと自由な社会」を福田さんのような【ニコニコした革命家】が作っていく未来が見える気がして、とてもうれしくなりました。未来は明るいです! 有り難うございます!

以上(2022年6月作成)

提供
執筆:杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ) 代表世話人株式会社代表
三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和(当時)にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に二十数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。年間1000人以上の経営者と出会い、縁をつなげている。

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